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昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

78 美術団体

 芸術の世界においては、玄人よりも時に素人の方が良いものをつくる。
 陶芸においての魯山人、川喜田半泥子、書道での良寛、画家ではゴッホ、ゴーギャン、ユトリロら、後期印象派がその代表であろう。
 
 何故か?
 考えてみると、素人というのは自由だからであろう。玄人というのは、一種のグループとか団体に属する。そういう団体に入ると、そのグループの共通の常識というか、枠に入らないと具合が悪い。上役、先輩から、ああしろこうしろと、本来自由であるべき表現が制約されることも多く、その上、暇な大御所たちに、月に何度もまずい酒を飲まされ、説教と自慢話を聞かされ、多大な時間を、先輩の機嫌取りや、付き合いに割かなければならない。
 
 とは言え、この職能組合みたいな団体に入っていると、それを通しての仕事が定期的に入ってくるし、精神面でも、妙な安心感が得られ、履歴にも箔が付く。
 その上何年協会費を納めると、〇〇賞がもらえ、〇〇賞を何回もらうと、〇〇という役職が与えられていく。 残念なことに日本においては、この肩書が最も重要視されるから本当に困りものですが。
by ogawagama | 2012-03-07 10:41 | 78 美術団体