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昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

137 幸福度

 親しみを感じる器がある。なぜだか分からないがいつも手が伸びてしまう。
 モノとして生まれた器なのに、いつしか情が移り、ついついその器ばかり使ってしまうもの。

 酒を飲む人の中には、晩酌の友として愛用するぐい呑を、どこにでも持って行く人もいます。
 コーヒーを飲む時は、愛用のカップでないと落ち着かない人もいるでしょう。
 旅茶碗も、いつでもどこでも美味しくお茶を頂く為に、旅先まで連れていくところから始まったものでしょう。

 この親しみという感情は、人間にとってとても大切なものだと思う。器だけではなく、着るものも、食べるものも、住まいも。

 どうせ同じ時間を過ごすのであれば、親しみを抱くモノたちに囲まれて暮らしたいものですね。
 親しみとは、そのモノに心を許すことだと思う。しかし、この尺度はあくまで個人で違うもの。決して流行や他人の目を気にするものではなく、自分の心と体が本当に心地よいと感じるものであり、そんなモノたちと共に長く暮らしていけたらどんなに幸せだろうか。

 現代のように、合理的に、次から次へと安いモノを消費する社会ではなく、自分にとって本当に大切なものを、自分の眼で見つけ、大事にして長く使っていく社会こそが、私の理想。

 そろそろ幸福度をものさしにした生活に切り替えてみませんか。
by ogawagama | 2012-03-09 15:18 | 137 幸福度