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昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

147 日々新し

 私も陶芸家の端くれ。個展会場で「何か一言書いて下さい」と頼まれることもある。
 その際、いつも書くのが、「日々新し」私の座右の銘でもある。

 作品は自分の姿であり、自分が今をどう生きているかが正直に出てしまうもの。だからこそ現時点での自分の最高の力をすべて出し切って作品に向き合う。
 そして今日という日はもう二度と来ない。だからこそ、常に新たな気持ちを持って一日一日を生き抜き、今日出来る最高の仕事をする。
 こんな生活を重ねることによって、自分の次元を高めていけたらと思い、書かせてもらっている。

 私は芸術とは、人間を慰めるものではなく、人間を強めてくれるものであるべきだと思う。

 面白がらせるものでもなく、何かを考えさせてくれるものだと。

 日常の苦しみを癒すものではなく、苦しみに耐える力を興してくれるものだとも考えている。

 人間を引き上げ、進ませ、がっしりさせるものこそが、本物の芸術ではないだろうか。

 私にとっての憧れは、ミケランジェロ。
 彼は絵の具と石を用いてそれを創った。
 私は自分の生涯をかけて、炎を友として粘土で創り上げたい。
 目標は高ければ高い程良いと考えている。
by ogawagama | 2012-03-09 23:57 | 147 日々新し