昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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6 茶碗の意義

 飯茶碗と抹茶碗は機能的にはさほど差はないが、何が違うのでしょうか。
これは、茶道の真髄「侘、寂」がそこに備わっているかどうかと言えよう。ではなぜ、これが必要か。その答えは茶碗の起源に求めることが出来る。

 現代茶道につながる草庵茶道の開祖、村田珠光の弟子に、古市播磨之守がいました。南山城の国一揆の指導者でしたが、その戦陣に茶碗を携え、陣中でも茶を楽しんだ。この一揆が発展して、応仁の乱となるのだが、この頃になると、各武将も真似て、陣中で茶の湯を楽しみ始めた。この戦乱に終止符を打った信長の頃となると、武将はもちろん、多くのインテリ層にまで広がり、千利休により大成され、今につながっています。
 つまり、茶碗とは、毎日死と隣り合わせに生きていた時代の、武将たちの要望により生まれたもの。戦乱の世、常に死と直面して生きた武人たちが、文字どおり一期一会の茶会で、これから戦場に赴く武将たちに、「死に水代わりに」茶を点て献じてきたもの。この世で最後に口にするものが茶碗であったのです。
 
この茶碗本来の存在意義を考え、時が変わった現代においても、普段使いの飯茶碗と違い、一品一品に命を込める思いで、陶工は作るべきであろう。
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by ogawagama | 2008-12-04 20:06 | 6 茶碗の意義