昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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79 仕事場

 陶芸をやっている人は、二万人とも言われている。
 確かに陶芸教室等で学んでいる人たちも含めると、こんな数字になるのかもしれない。
私も自分では陶工と言っているが、職業欄には陶芸家と書いているのだから、この二万分の一に含まれるのであろう。

 陶芸家なのだから、ほかの陶芸家の作品にもっと興味を持たなければいけないのであろうが、あまりない。しかし仕事場にはとても興味がある。どんな所で、どんな道具で、どんな窯で作られているのか。
 窯を見るのは築炉師として勉強の為である。
 道具を見るのは個人的な趣味の為。子供のころから職人の道具にとても興味を持っていた性格が、今も続いている。
 そして作業場を見るのはその人とどう付き合っていくかを考える為かな。

 どうも作業場が汚い人とは相性が悪く、汚い作業場からはいい加減な作品しか生まれないと思っているし、何よりモノを大事にしない人が嫌いな為である。

 私は備前での修業時代、雑巾の掛け方から、ほうきの使い方、粘土・原料・道具の徹底した整理整頓、客のもてなし方等を厳しく教わった。有り難いことに、この時身に付いた癖が今も続いている。どんなに遅く疲れていても、仕事が終わると必ず作業場の整理整頓そして雑巾がけを欠かさない。いざ仕事をしようとした時、その場が汚くては気分がめいるもの。いかに気持ちよく仕事に取りかかるかは、常日頃からの整理整頓だと思っている。ちょっとした心がけなのだが私にとってはとても大事なことである。

 そしてモノを大事にする心こそが、良いモノづくりに直結していると思う。例えば、粘土の削りかすや失敗作品を平気で捨てる人などは言語道断。粘土というものは乾かして水に戻せば何度でも使えるものですよ。
 私は山からよく粘土を取ってきますが、焼いてみて例え好みでなくても捨てたりはしません。そういう粘土はまとめて取って置き、窯の修理に使いますし、窯焚きで使われた道具土も砕いてフルイを通して何度でも使っています。

 そしてとっても大事なのが手水、この手水を捨てないで下さい。夏は少々匂いを放つことも有りますが、実はこの古い水こそが魔法の水となり、とてもロクロが挽きやすくなりますので、一度お試しあれ。
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by ogawagama | 2012-03-07 10:45 | 79 仕事場