昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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85 半農半陶

 その土地の長(おさ)の命令により、専業になったこともあろうが、そのほとんどが陶業専業ではなく半農半陶であったと思う。農作業をしながら村中で協力し合い、のんびりと焼き物を作っていたのではないだろうか。

 現代は電気も有り、例えば4日の窯焚きであれば、4日間寝ずに続けて焚いてしまうが、最近私は変わった焚き方をするようになった。朝、火を入れ日中焚くが、夜は眠くなったら寝る。そして翌朝 起きるとまた日中焚いて夜は寝る。この繰り返しで最終日だけを徹夜して焚き上げている。
 これは昔の人はどうやって窯を焚いていたのかを考えて思いついたものです。

 昔は山の斜面に穴を掘って天井を付けただけの窯。窯づめし易いように正面口は広く、窯づめが終わると、そのまま、まずは木の葉や枝や割りづらい癖のある木を組み合わせて、焚きづらいものから焚き火のようにして燃やしていったのでしょう。こうして日中焚き、夜は寝る。
 翌朝はあらかじめ用意しておいた日干しレンガで焚き口を少し小さくして再び焚き始めて、又夜は寝る。
 更に翌朝は更に焚き口を小さくして、最終日に皆で徹夜で焚いていたのではないだろうか、と考えた。
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 木を一本倒せば、当然全てを無駄にせず有効利用しただろう。最初焚き口が大きければ、どんなものでも燃やせる。どんな木でも燃やした分だけは温度が上がります。そして夜寝ても300~500度下がりはしますが、翌朝焚き始めると、2時間ほどですぐにその温度まで戻ってしまうのですから。夜は寝て、朝起きる毎に焚き口を段々小さくしていく焚き方は、実に合理的で無駄がありません。

 私は木を自分で切って割っていますが、この作業が一番大変なのです。切りづらい割りづらいものは大きいまま1日目で使い、枝や葉っぱもここで使ってしまい。そして割り易いものだけを細かく割って最終日に使う。チェーンソーも薪割り機も無かったからこそ、知恵を絞ってなるべく楽に窯焚きをしていたに違いありません。
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by ogawagama | 2012-03-07 17:28 | 85 半農半陶