昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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93 薪窯の流れ

 窯をどこに作るか。
 最大のポイントは風向きです。風が煙突の方から吹いては薪が燃えません。北西の風が吹く山の中腹を探して下さい。
 そして近くに小川があり湿気があれば更に良いでしょう。
 勾配は2寸8分から3寸5分が基本です。焚きやすさを考えれば3寸5分、窯変狙いなら2寸8分。

 そして窯の構想を決めます。これは自分の焼きたいものは何かを決めれば、おのずと窯の形・大きさが決まるものです。
 これで良しと決めたら、すぐに作る方が良いでしょう.これが正解なんて答えがありませんので、悩む前にまずは作って、焚きながら少しづつ改良していきましょう。

 築炉はプロの築炉屋に頼んでもよいですし、今なら築炉本もたくさん出ているので自分で作るのもよいでしょう。

 窯を作るのは秋がお勧めです。春に作ってもすぐに梅雨になってしまうし、夏は乾燥しすぎてヒビだらけになりますし、冬は凍みて不可能ですから。

 こうして1カ月程をかけて窯を作り、出来上がったら、まずは空焚きをして下さい。作品を詰めずに1回目900℃、2回目1100℃で焼くと、窯の寿命がかなり伸びますので。

 そして、いよいよ本番。まずは窯づめからです。しかしこの窯づめで窯焚きの良し悪しが決まってしまうので、焦らないで下さい。
 火前は薪が当たり細長い作品では倒れてしまうので、安定したものを選んで並べましょう。ここは灰かぶりの場所となります。
 中あたりは緋色も自然釉もよい場所。
 奥は緋色の優しい焼けとなります。
 作品は形と焼けが合わないと美しくありません。作る段階から焼く場所をイメージするのがコツです。
 窯づめは炎の流れをイメージしてゆっくり丁寧に行って下さい。
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 窯焚きは薪をくべ続けてさえいれば必ず温度は上がっていくものですが、電気窯のように直線的には上がりませんので。思うように上がらないからといって慌ててダンパー・ドラフト・薪の本数・くべるタイミング等いろいろ変えることは止めて下さい。
 もし操作をするのであれば、一つだけ。しかも一度変えたら3時間は続けて下さい。
 結果が出るまで3時間はかかるものです。焦りは絶対に禁物。データーにこだわらず、自然に任せてゆっくり焚くことを心がけて下さい。

 そして窯焚きで一番大事なのは次に繋げることです。たまたま結果が良かっただけでは窯焚きは一向にうまくなれません。その意味からも操作はあまり変えずに焚き切る癖をつけ、窯出しはポイポイと出すのではなく、時間をかけて必ず因果関係を調べ上げてから出すことです。

 こうして毎回一歩づつ窯焚きの腕を上げていきましょう。窯焚きに王道無しです。
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by ogawagama | 2012-03-07 18:13 | 93 薪窯の流れ