昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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94 築炉

 良い窯というのは、何十基作ってもこれがベストだという答えがないので、未だに分かりません。その土地それぞれの外的条件を受けてしまうからです。
 ただ、焼きたいものをイメージして窯の構造と大きささえ決めてしまえば、築炉自体は意外に簡単なものです。

 レンガの大きさは決まっています。縦23.0センチ、横11.5センチ、厚み6.5センチ。アーチを作るレンガもY1,Y2,Y3と、T1,T2,T3と角度と大きさが決まっていますので、これをパズルのように組み合わせていくだけで良いのです。

 難しいアーチも、例えばY1だけを使うのであれば、Y1レンガをモルタルの厚み分を加えて仮に並べてみます。するとこれでアーチの形が決定します。これに合わせて木型を作り、この上に実際に並べていくだけで立派なアーチが完成します。
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 アーチ以外は基本のレンガを横半分に切った「半マス」、縦半分に切った「羊かん」、厚みを半分に切った「はんぺい」の3種をあらかじめ用意しておき、目地が揃わないように、まさにパズルのようにレンガを組み合わせていくだけです。

 窯の図面にはこだわらず、レンガの都合に合わせて作っていけば良いだけです。もし困ったことがあれば、近くの左官屋さんに来てもらうことです。
 プロの築炉屋はなかなかいませんが、左官屋さんなら地元に必ずいます。実際の現場を見てもらわないと答えが見つかりませんので、電話だけでの質問は禁物です。

 また、昔はレンガなど無かったからと言って、クレで作ったり、耐火度の高い粘土を型に入れ足で踏んで自分でレンガを作ったりする人もいますが、1200℃くらいのやきものには向いていると思います。
 さっと温度が上がってさっと冷めるのが特徴だからです。実際耐火レンガの窯より3割程早く焚けます。
 しかし火を止めて2時間ほどで900℃まであっという間に冷めてしまいますので、私はお勧めしません。
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by ogawagama | 2012-03-07 21:38 | 94 築炉