昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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96 湿気

 同じ構造・大きさの薪窯でも、作る場所によって大きく変わってしまうものです。

 平地に盛り土をして、ブロック等で周りを土止めした上に作り、窯の周りをセメントで固めた場合、湿気とはほぼ無縁となり、毎回データー通りに焚け、作品の焼き上がりも安定しますし、燃料代も安く済み、合理性を求める人にはお勧めでしょう。

 これとは反対に、周りに川が流れ、湿気の多い山の斜面に造られた窯などは、毎回湿気との戦いとなるでしょう。前回のデーター等当てにはならないでしょうが、うまく焚くと驚くような美しい作品が焼けることもあります。しかし燃料代がかかり失敗も多くなりましょう。

 実は、窯を焚き始めると、窯の周り1.2メートル内の水が全部吸い上げられてきてしまうのです。従ってこの部分の水分のことも考えないと、温度は上がりませんし、作品がモセ割れしてしまうことでしょう。
 作品だけを一生懸命乾かしても、窯焚きでこの窯の周りの湿気が吸い上げられ続けてしまい、窯の中で蒸発し、作品の後ろに集まり雫となって垂れることによって割れるのがモセ割れ。
 これを避ける為にはこの湿気抜きを上手くすることが大きなポイントにもなります。

 具体的には
1・本焼き前に空焚きを1000℃以上でしっかりする。
2・天井にあけた湿気抜き穴を利用してゆっくりゆっくり焚いていく。
 この2つの方法が考えられます。

 どちらにせよ、湿気抜き穴を使わなければいけませんが、その際気を付けなければならない事は、初めのうち、ここからすごい勢いで湿気が出てきます。次第に量が減っていくのですが、後ろの部屋が温まると、それまで噴き出していたものが突然吸い始めてしまいます。
 このタイミングを常にチェックして必ず閉めないといけません。

 私の窯では400℃です。タイミング良く閉めないと、冷たい空気がここから窯の中に吸い込まれ、この穴以降の作品を割ってしまうことになるからです。
 各湿気抜き穴をこまめにチェックする癖を必ずつけることです。

 尚どうしても湿気が多すぎてお困りの方は、窯の周りを1.5mの深さに掘り、石に入れ替えて、窯の外で湿気を抜く方法を取って下さい。
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by ogawagama | 2012-03-07 21:52 | 96 湿気