昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

カテゴリ:99 登り窯( 1 )

99 登り窯

 登り窯は、炎が低いところから高いところへ流れるという原理を、上手く利用したもので、いわば窯全体が大きな煙突でもあり、その中を区切ることによって炎を上下させ、窯内の温度差をなくし、その上作品をたくさん詰められるようにした、まさに画期的なものであり、私は陶芸界の三大発明の一つと考えています。
 ちなみに他はロクロと長石の発見。

 登り窯にとって傾斜が一番のポイントですが、もう一つ忘れてならないのがサマ穴。
 部屋と部屋をつなぐ穴のことです。

 直焔を望むなら無段床となり、必然的に斜めサマとなります。
 作品をたくさん入れたい為に窯床を平らにしたならば、横サマか縦サマになります。
 時間をかけてゆっくり焼きたいなら、横サマ。
 反対に短時間焼成が希望なら、縦サマがお勧めです。

 縦サマにするとサマ穴の際(きわ)に溝が作られますので、酸化・還元雰囲気が作り易く、炎のコントロールも出来るようになり、その上炎がきれいな倒炎となりますので、窯内を炎が均一に回り易く、作品がきれいに焼けるでしょう。
 しかし作品の表裏に出来る景色の美しさは、斜めサマ・横サマ・縦サマの順となり、電気・ガス窯が主流の現代では趣のある斜めサマか横サマが良いでしょうか。

 そしてサマ穴の面積は窯の引きに大きく影響しますので、慎重に考えて下さい。
 引きの強い場合はサマ穴を小さくして抑え、引きが悪い場合は大きくして調整しなければなりません。

 私は最初に大きめのサマ穴を作ることを勧めます。
 もし引きが強すぎれば簡単に小さく改造出来ますし、そこに作品を置いて調整も出来ます。しかし逆に小さい穴を後から大きく改造するのは相当難しい作業となりますので。

 参考までに私の横サマ穴はレンガ4段が9個です。
 かなり大きいのですが、これは伊賀・唐津・萩焼用。
 一般の釉薬用は窯焚き前にレンガ3段に改造し、志野を焼く時は更にレンガ2段に狭くしてから焼いております。
c0180774_14524136.jpg

[PR]
by ogawagama | 2012-03-07 22:10 | 99 登り窯