昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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100 分煙柱

 良い窯とはどんな窯。
 いろんな答えが考えられますが、簡単に言えば、焼ける窯です。

 焚いた炎が、そのまま上に上がって天井を走って、煙突から逃げてばかりでは、何日焼いても1200℃は超えられないものです。窯焚きのポイントは上に上がろうとする炎をいかに壁と下に回すかです。
 下におろすのに有効なのは仕切り壁、そして両壁に炎を走らせるのに有効なのは、分煙柱です。

 昔の窯の多くに、この分煙柱が付いていました。
 多くの人は、窯の天井が落ちるのを防ぐために付けられていたとしか考えていませんが、実は炎を左右に分けるという大切な役割を担っていたのです。焚いた炎を、その根元で二つに分けてしまうという大胆な発想を、先人達は考え出していたのです。

 ちなみに焚き口が一つでなければいけないなんてことはありません。私の窯には焚き口が三つあります。
 つまり二つの分煙柱をつけているのと同じ炎の流れとなり、焚き口が三つあると、左右の壁を焼くのにとても都合が良くなります。
 真ん中の焚き口より左右の焚き口に多めに薪を焚べれば、壁から簡単に焼けます。実は窯焚きではとにかく壁と床を焼くことに集中すれば上手くいくものなのです。
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 そしてもう一つ忘れてならないのが、窯づめも、炎を左右上下に散らす大切な役割を担っているということです。
 窯作りの時点である程度決まってしまいますが、窯づめのポイントに、壁・素穴・棚の間の空間、全て均一に10センチというものがあります。
 これ以上でもこれ以下でも炎が逃げすぎ、同じ所ばかり走ってしまうからです。握りこぶし一つ分、空けることを覚えておいて下さい

 ちなみにこの分煙柱、私は窯づめの度に付けて、窯出しの度に取り外していたと考えています。
 作業効率から考えると、焚き口=窯づめ・窯出しの出入り口となります。
 この時真ん中に大きな分煙柱があっては作業がかなりしづらいものです。日干しレンガ等であらかじめ作っておき、取り付け取り外していたのではないでしょうか。
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by ogawagama | 2012-03-07 22:17 | 100 分煙柱