昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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118 焼き締め陶

 山から採ってきた粘土に、釉薬をかけず、薪窯で焼くだけのやきものを、焼き締めといいます。
 その代表が伊賀・信楽・備前・越前・丹波・常滑焼。

 電気が普及したのは明治時代。冷蔵庫が普及したのは戦後である。それ以前、我々は水・食料をどうやって保存していたのでしょうか。
 その答えは、焼き締めの壷・甕に入れ大切に管理していたのです。

 では何故か。
 これは、粘土が水分を最も活性化させる、3~6ミクロンの遠赤外線波長を、永久に出し続けているからです。
 この効果により、器の中に入れたものが活性化され長持ちすることを、昔の人たちは長年の経験から分かっていたのでしょう。

 子供がどろんこ遊びを好きなのも同じ理由です。
 人間の体も70%が水分、遠赤外線によって活性化され、気持ちいいことが本能で分かっているようです。
 大人になってもやっぱり土があるとホッとすることも同じ理由からでしょう。

 また、焼き締めの素地の内部は、水が漏れず、空気が出入り出来る程度の微細な穴が無数に空いている為に、通気性も生じており、遠赤外線効果と相乗して、更に長い時間良い状態が保たれてもします。
 しかし一般のやきものは釉薬をかけてしまうのでこの効果を失っています。

 一般の器と焼き締めの器との、同条件での経過実験をしてみると、花であれば一般の花瓶では1週間ほどだが、焼き締めのものは1カ月以上花が長持ちします。
 同じく果物・料理も実験しましたが、共においしさが長持ちしました。

 大人は器の好みも有りましょうが、子供に食べ比べてもらうと、素直に焼き締めのものがおいしいと答えます。
 一番分かりやすいのが、焼き締めの湯呑みと一般の湯呑みに、同じ水を入れ一晩置き、翌朝飲み比べて下さい。これなら誰でも、その違いがはっきり分かることでしょう。

 どんなものも、原子レベルで、焼き締めから発せられる遠赤外線によって微振動を起こし活性化され、そのものの生命力を高めてくれているようです。

 また一般のやきものは、器の表面の釉薬を溶かしているだけで脆いのですが、焼き締めは、薪窯でゆっくり器の芯から焼いていますので、素地の内部までしっかり緻密な組織となっており、強度が備わります。
 その上、比熱が大きい特徴まで得ているので、保温力が高まり、冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいまま飲み食い出来ます。

 まさに一石四鳥の魔法の焼き物。我々の先人たちはこれを見抜き、大切に使い続けてきたのですね。
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*花入れの実験の他に、焼き締め皿と一般皿による「果物」「刺身」の実験もしています。
 詳しくは、楽天の小川窯~昔ながらのやきもの屋~「遠赤外線って何?」のページをご覧ください。
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by ogawagama | 2012-03-08 22:45 | 118 焼き締め陶