昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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120 伊賀焼

 一般には、1250℃で焼ける信楽の粘土を薪窯で焼き、焼けの激しいものを伊賀焼、焼けの甘いものを信楽焼と言っているのですが、本来は伊賀の土を焼いたのが、伊賀焼。信楽の土を焼いたのが、信楽焼です。

 伊賀の粘土は信楽に比べ、きめが細かく耐火度がかなり高く、1350℃は上げないと焼けない。
 この粘土を、釉薬をかけずに焼ききっているのは私だけであろうか。

 薪窯は1200℃上がれば優秀な窯といわれる中、どうしたら1350℃まで上げられるのか。
 全国に薪窯を作りながら、考え考え考え抜いた。

 薪窯にうんちくのある人に限って、ロストルはいらないと言う。
 昔の窯には無かったはずだし、ロストルで燠を落としてしまっては作品に灰が付かないから等。

 しかし私はどんな窯にもロストルを付けることを勧めています。作っておいて普段は使わず、いざという時、天候が悪い時、薪が湿っている時、作品を詰め過ぎた時に使うだけで良いのです。
 窯焚き師としての経験上、上がらない温度を上げるには、このロストルを使うのが一番良いと考えるからです。

 つまり、1350℃を得るには、燃えている薪の下から、温かい空気をどんどん取り入れることがポイントと考え、私の伊賀の窯焚きではこのロストルを大いに利用、いや空気の力を借り焚いています。
 しかしこれでは還元にならないのでは、ビードロが緑ではなく黄色になってしまうと考えがちですが。

 そこでもう一つの理論が、「ロウソクの炎」。
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 ロウソクの炎の外側は空気を取り込め酸化炎、黄色~オレンジ色。中へ行くほど空気を取り込めず還元炎、青色となっている。つまりロウソクの真ん中の炎だけを利用すれば良いという考え。
 つまり空気をどんどん取り入れ、薪をどんどん燃やして還元炎の場所だけに作品を置けば良いのである。

 この為、薪は信楽焼の2倍以上使う贅沢な窯焚きとなりますが。

 具体的にはあぶりでは5~6本づつ焚べ、12時間で900℃。
ここからは焚き口一杯に薪を入れ、20時間で1100℃、
40時間で1300℃を越えさせて、この後は更に薪をガンガン焚べ、
45時間程引っぱって1350℃まで上げていくのが、私の伊賀焼の焚き方です。

 とにかく、薪を焚べっ放しの誰も見たことがない激しい窯焚きです。
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by ogawagama | 2012-03-08 23:01 | 120 伊賀焼