昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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16 灰づくり

 小川窯の釉薬は、ほとんどが灰立てです。なぜこの灰立てにこだわるのか。

 一般の釉薬は石灰立て。成分が一定しており扱い易く、安い。しかし、鉱物の石灰と、灰の石灰は結晶構造が全く違います。灰の石灰は、他の原料と溶け合い易く、釉調がとても美しい利点があります。しかし、きれいな結晶構造の灰を得ることはとても難しい。特に難しいのが、ワラ灰。ワラを焼く時は、低温で炭素を残すことが肝心。炭素を残すことにより、非晶質の反応のよい珪酸がつくられる。非晶質のものは、アク抜きも簡単で、他の灰づくりも同じでゆっくり燃やすことが原則。急いで雑に燃やせば、その後のアク抜きも、大変となるだけでなく、釉薬として用いた場合も、反応性が悪くなる。
 
 また、生木を燃やすと、炭酸塩の結晶の形とならず、アクが抜けませんし、高温で焼くと、アルカリが固定化し、これまたアク抜きが難しくなる。灰とは実にデリケートなものです。
 
 同じ灰も、焼成温度、焼き方によって、結晶構造が変わり、その性質も違ってきてしまうのです。昔から灰は年寄りが燃やしたものが良いと言われますが、その通りなのです。丁寧に気長に、灰は燃やさなければなりません。50年近く研究して来ましたが、灰づくりは本当に難しい。
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            「アク抜き」                    「天日干し」

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by ogawagama | 2008-12-11 10:05 | 16 灰づくり