昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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27 日々研鑽

 今は科学万能の時代。自宅にいながら電話1本で、全国の原料屋から、自分の好きな土、釉薬が買え、次の日には届いてしまう。陶芸関係の出版物も千冊を超えるであろう。
 その気になれば、どんなことも調べられる。例えば、自分の好きなやきものを化学分析すれば、その土、釉薬の調合すら分かる時代でもある。
 
 しかし、人に技術を伝えることの諺に、「魚を与えるか、釣ることを教えるか」というものがある。魚を与えるだけであれば、食べてしまえばそれで終わり。けれど、釣ることを学べば、それから先ずっと魚を食べることが出来る。更には工夫することも覚え、別の魚を得る方法も見つけられるもの。
 
 今の時代はあまりにも簡単に原料、知識が得られてしまう為、時間をかけ、しっかり学ぶということが難しい。
 
 小川窯には、50年の研究成果があります。今でも原料は、昔ながらに山に求め、銅以外は天然原料を使っています。私も時に、現代の科学の力を借り、例えば、織部釉にマグネシウムを入れ緑味を増したり、バリウムを入れ青味を増したりもしますが、やはり不自然。50年研究された素材を生かす天然原料合わせの織部釉には全くかないません。たった一つの研究成果を得るにも、多大な時間と労力が必要なものです。
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by ogawagama | 2008-12-20 11:28 | 27 日々研鑽