昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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32 窯道具の変化

 現代の窯は構造も優れているが、特に、炉材の進歩は著しい。昔の、重く硬くなかなか熱くならない耐火レンガと違い、軽く、釘も打て、のこぎりで切断が出来てしまう程、作業性が良く、その上、すぐに表面が熱くなり、保温性と断熱性の良い、断熱耐火レンガが用いられるようになってきている。その結果、焼成は、まずレンガを温めて、徐々に昇温していくというスタイルをとらなくても良くなった。
 コンピューター制御により、緩急自在な焼成が、安定して出来るレベルまで来ています。
 
 しかし、昔の志野、黄瀬戸、織部、唐津等は、土肌は柔らかく、釉のあだ光もなく優しいが、ちゃんと焼き締まっています。なぜでしょうか。昔の窯焚きは、窯の構造、炉材、燃料の関係から、今日のように容易に温度が上げられません。1200℃近くをキープするのが精一杯でした。しかし、これが返って良かった。この辺りの温度で、長時間キープすることにより、素地と釉薬とが溶け合った中間層が多く出来る為、土は柔らかく、釉は優しいのに、ちゃんと焼き締まっていたのです。
 
 現在の、1時間に100℃直線的に温度を上げる焚き方は、合理的で、科学的にも理にかなってはいますが、その製品は、美しさからは遠ざかっています。もはや、均一な製品を量産するには、パーフェクトな水準まで窯業科学は進歩していますが、この技術、知識は、使い手側のレベルで、良くも悪くもなるようです。
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by ogawagama | 2008-12-20 15:32 | 32 窯道具の進化