昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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34 昔の窯

 「大は小を兼ねる」というわけではないが、やっぱり窯というのは大きいにこしたことはない。昔のものがいいというのは、やはり、大きな窯を長時間かけて焼いたからでしょう。
 「大きい窯がゆったり焼けた」というのは、これは言葉では言い表せませんが、何とも言えない「味」があります。
 
 私が現在使っている、割竹式登窯は、唐津、粉引、灰釉、織部、黄瀬戸、志野、瀬戸黒、備前、伊賀と、ずいぶんいろんなものを焼いています。何でも出来るのが登窯の特徴でもあります。5つの部屋に分かれ、各部屋ごとに50℃の温度差があるので、一度にいろんなものが焼けます。
 
 ガス窯、電気窯は、破損、生焼け等ほとんど出ませんが、温度、焼成雰囲気が均一の為、同じものしか焼けません。
 
 それに比べ、薪窯は、不安定で不便なようですが、これをうまく使いこなすことにより、一窯でどんなものでも焼ける、魔法の窯となります。
 
 現代の窯に比べると、昔の薪窯は、そこらじゅう穴だらけの、ひどい状態の窯であったろうと思いますが、あんなに美しいものを焼いていたのです。といって、わざとボロボロの窯にした方が良いと言っている訳ではありませんが、きれいな窯からは、均一なきれいなものしか生まれず、見てくれの悪い窯からは、面白く、魅力のあるものが生まれるのは事実です。
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by ogawagama | 2008-12-20 16:36 | 34 昔の窯