昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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 一般にやきものは、「一に焼き、二に土、三に細工」と言われますが、細工というのは、毎日続けてやっていれば、それなりの技術は身についていくものですから、わざわざ取り上げなくても良いと思うのです。それよりも、薪窯を焚く人にとっては「一に焼き、二に土、三に水」つまり、水分、湿気と言った方が合点がいくと思います。良い意味でも悪い意味でも、この水分湿気と、うまくつき合わなければ窯は焚けません。
 
 窯は、回りの水分を吸収しながら、温度が上がっていきます。下からの水分、大気に含まれる湿気、薪の中に含まれる水分等です。窯の中では、たくさんの水素ガスが生まれ、このガスが、いろいろ影響して、やきものに表情をつけてくれます。
 
 私の経験からすれば、秋から冬にかかる季節に窯焚きをすると、空気が乾燥している為、焚き易く、しっとり落ち着いた表情となり、春から夏にかかる季節に焼くと、空気に湿気が多い為、温度の上がりは悪いのですが、やきものは、とても明るい表情になります。同じ窯で同じ土を焼いても、湿気によって大きく変わります。この違いを理解し、作品づくり、窯づめ、窯焚きをすると、仕事の幅がぐんと広がることでしょう。
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by ogawagama | 2008-12-21 09:37 | 38 一焼き 二土 三水