昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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39 ゼーゲル錘

 やきものは温度で焼き締まるのではなく、熱によって焼き締まるものです。どういうことかと言うと、やきものに1200℃という瞬時の温度を与えても決して焼けません。ある程度の時間をかけて、1200℃に達した時に焼けるのです。
 
 よく、「この釉薬は何度で焼いたらいいのですか?」と問われますが、この答えにいつも困ります。窯の構造、大きさ、焼成曲線(温度の上がり方)、最高温度、ねらし時間等、全ての焼成条件を伝えなければ答えられないからです。こんな時に役立つのが、ゼーグル錘です。
 
 例えば、ゼーグル錘8番であれば、1時間に100℃の割合で昇温して、1250℃に達すれば、倒れるように作ってあります。(実際の窯焚きは、それより時間が長くかかっているので、ゼーグル錘の表示温度よりも低い温度で倒れますが。)
 やきものを焼く場合、温度だけでなく、過熱時間を相乗して考えなければならないので、ゼーグル錘を併用した方が分かり易いのです。
 
 備前焼は、焼成に10~14日かかります。最高温度は、1140℃程でしょう。備前の土は耐火度があまり高くないので、ゆっくりと時間をかけて焼きますが、この最高温度でも、ゼーグル錘8番が倒れます。つまり、温度計の指示温度は窯のその場所の瞬間温度。一つの目安温度と考えるべきです。
 
 再び、「何度で焼いたらいいのですか?」
「0.2㎡のガス窯で、あぶり(900℃まで)を18時間、本焼を14時間、ねらしを3時間かけて、温度計が1175℃を指示し、ゼーグル錘8番が完倒するまで焼きました。」

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        「1230℃で焼いて倒れたゼーゲル錘」      「焼く前のゼーゲル錘」
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by ogawagama | 2008-12-21 10:02 | 39 ゼーゲル錘