昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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42 土取り

 紅葉が終わり草木が枯れると、春までが私にとっての原料探しの時期です。草が生えていては土が見えませんし、何より、害虫、蛇(蝮)がいないので・・・
 
 採取した粘土、カオリン、長石、含鉄土石は、最終的には窯で焼いてみるしかありませんが、採る時は、匂い、味、色を参考にします。

「匂い」 土そのものには匂いはありませんが、表土には、土の香がすることがあります。これは、土中に棲む放射菌が出す匂いなので、問題はありません。問題なのは硫黄。あの鼻につく匂いがあるものは、有害です。しかし、常温では匂わないことが多いので、ストーブの上で土を乾かしている時、硫黄が入っていればすぐに匂いがします。これは捨てて下さい。

「味」 塩辛い味、これがある土は海成粘土なので、高温は無理です。酸っぱい味は、熱水作用で岩が粘土になったもので、可塑性なく使えません。とにかく、採取する際、土を舐めてみて下さい。いくら舐めても土は栄養にはなりませんが、消化器官の中でイオン交換され、医薬品として使われるくらいなので、大丈夫です。「舌ざわりが良く味のないもの」が、土取りの基本です。味のあるものは不純物が含まれています。この不純物は、雨風に当て、さらすことによって、取り除けます。例えば、海成粘土の備前土は、そのままでは使えませんが、3~5年サラシをすることで、使用可能となります。

「色」 どんな土にも、水素、酸素、アルミニウム、ケイ素を中心に、88種類の元素が入っています。しかも、様々に結合している為、土の色は無限です。この生の土の色を見て、焼成後の色は分かりません。私が扱う土も、一番赤色の強い土が、焼成後、最も白く焼き上がります。土には不思議が一杯つまっています。何より、自然の中で土取りをすることは、実に気持ちが良いものです。皆さんも、是非、始めてみて下さい。

ちなみに<色の参考>
茶褐色 褐鉄鉱、酸化マグネシウムの色。
白色  不純物少なく、強い土。
赤色  高温多湿の下、鉄が褐鉄鉱にならず、水酸化鉄になったもの。粘りが少ない。
黄色  硫化鉄の色。鉄粉出易い。大物に使うと割れる。
暗灰、青緑系  海で堆積したもの。低温焼成しか無理。
黒色  炭素が残ったもの。完全に燃やすと白くなる。
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by ogawagama | 2008-12-21 13:52 | 42 土取り