昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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44 土を寝かす

 古い窯元に行くと、「土はじいさんの代につくっておいて、孫の代に使わせる」と言いますが、土を「寝かす」と何が良いのでしょう。

1.粘土の中には、1g中平均1500万ものバクテリアがおり、湿気があると、どんどん繁殖します。これにより、粘土の可塑性が増してゆく。しかし、バクテリアも生物であるから、栄養が必要です。有機物の多い粘土であれば、問題ないのですが、少ない粘土は、人工的に砂糖等を2%添加して寝かすと良いでしょう。
 非常に成形しにくい粘土も、3年寝かすと、成形可能となります。

2.寝かすことにより、水が最も微細な粒子群の間にまで浸透して、均一になっていきます。実は、この浸透分散作用を瞬時にやってしまうのが、真空土練機。真空中では、水は蒸気の形となり、微細な粒子間に一気に浸透していきます。自然界では、3年程かかる作用を数秒でやってしまう、魔法の道具なのです。だから、一般の製土は、必ず、真空土練機を通して練り上げられます。その為、そのまますぐに扱えるのです。
 これを知った時、改めて科学の力はすごいと思いました。
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by ogawagama | 2008-12-21 14:41 | 44 土を寝かす