昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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45 土の熟成

 味噌でも、酒でも、人間でも、時間をかけて熟成すると、よいものになります。土もそうですが、いくら時間をかければ良い粘土となるのでしょうか。
 
 まずは、今日の雨で、今、山から流れ出たばかりの土を、1250℃で焼いてみます。その結果は、何とブクブクに溶けてしまいました。
 
 次に、約330年前の川の氾濫で、水没した土を焼いていきます。これも、1250℃では崩壊してしまいました。どうやら土が粘土になるには、数百年程度ではとても無理なようです。専門書で調べてみると、『我々が、現在使っている粘土の多くは、何と、一億年前の火山活動によって生み出された花崗岩が風化し、500万年前の湖に流れ、堆積され、「1万年以上」かけて、粘土になったもの』と、記されています。

 ところで、土に時間が与えられると、どんな変化をしていくのでしょうか。
1.現在の日本のような酸性環境では、空気に触れているだけで、土中の鉄が溶け出していく。
2.植物の出す、フェミン酸が土に働き、鉄などの不純物を溶かし出していく。
3.石灰層(亜炭層)があるところでは、石灰が鉄の溶脱を著しく進める。
4.微生物の土の細分化により、可塑性が与えられていく。

 等、いろんな作用が日々行われ、粘土化していくようです。つまり、今日の雨で、山から流れ出たこの土は、これから一万年以上の時間をかけて、粘土になっていくようです。
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by ogawagama | 2008-12-21 15:03 | 45 土の熟成