昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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8 安部安人流

 窯焚きの極意は「床を焼き、奥を焼く」こと。この考えを、一般の焼成法とは違った形で実践しているのが、安部安人。
 
 炎は性質上、上に向かう為、手前の天井から焼けていきます。窯は構造上、天井、側面が薄く、床は地球です。薪を燃やすと、窯自体は、まずは熱を吸収します。これが、飽和に達すると、反対に放熱を始める。従って、床をしっかり焼かないと、天井ばかりに炎が行き、煙突から逃げるばかりで、温度も上がらず無駄な薪を燃やすばかりとなる。
 これを避ける手段として考え出されたのが、休み休み床だけを焼くこと。これを4~5日くり返した後、本焼きを行うと、温度は一気に上昇し、燃料のロスもなく、3分の2以下の量の薪で焚けるという。徹夜の続かないこの焚き方は、肉体的にもかなり楽であり、実際、東南アジアでは現在も行われている。
 私も、スポンサーのいない時代の昔の陶工は、半農半陶の生活、故に、この焚き方をしていたのではないかと考えています。
 
 鉄は何度もナマシをかけることで、しっかり焼き締まるもの。これを土に置き換えても、確かに良いだろう。
 科学的に見ても、現代の焼成法(何日も続けて焚く法)と、昔の焼成法(休み休み焚き、最後の一日だけ焼成する法)では、焼き上がった土の分子構造が違うらしい。これが正しい、というような焼成法などありませんが、どうやら、現代の焼成法はつい最近始められた焚き方なのだろうか。
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by ogawagama | 2008-12-05 16:01 | 8 安部安人流