昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


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52 ハタキ土

 土味にこだわり始めると、必ず辿り着くのが「ハタキ土」。

 一般の製土は、30種類以上の粘土をブレンドし、アク、不純物を簡単に取り除くために、水簸を行い、すぐにそのまま使えるように、真空土練機で練り上げた実に合理的なものです。しかし、こういった製土が出回り始めたのはごく最近であり、それ以前はどうしていたのでしょうか。
 
 もちろん、自分で掘りに行き、自分でつくるしかありません。
 
 しかし、山から掘り出してきた土の多くは、そのままでは使えません。土の中に、アルカリなどのアク、不純物が入っており、これらが過剰にあると、焼傷が出易くなります。これを防ぐ為には、3年以上空気に触れさせ、雨風を当て、風化を促すしかありません。これを、「サラシ」といいます。そして、乾いた土を木槌で細かく砕き、30~60目の篩を通し、水を加え、足で踏んで練り上げます。素足で踏むので、夏場は冷たくて気持ちが良いのですが、案外重労働で、しばらくすると全身汗だらけとなり、顔や上半身から汗がぽとぽとと垂れ落ちます。私も備前の修業時代はよくしていました。しかし、冬場の土踏みは、氷水に足をつけるようなもので...。
 
 こうして均一に混ぜ合わさり、粘りの出た粘土は、乾燥しないようにビニール袋を2重にして保存します。これを「寝かし」といいます。このように、手間をかけてゆっくりつくられた粘土は、真空土練機で一瞬にして練り上げた土と明らかに違います。特に、ロクロで大物をつくる時に実感できます。成形し易く、言うことを聞いてくれるものです。

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   ①「木槌で砕き、フルイ通した原土で         ②「まず手で混ぜ、次いで足で
      土手を作り、真中に水を入れる」           踏み混ぜていく」

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    ③「何度も踏み、                  ④「馬蹄型にまとめ、乾かす。                    混ぜられた土」                          この後、袋づめし3年寝かせる」
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by ogawagama | 2008-12-24 10:57 | 52 ハタキ土