昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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54 土の尊厳

 「人を主とせず、自然を主とす」
 私の原料屋としての考え方の基本です。

 自然が何万年もの時間をかけて作り上げた原料そのものを尊重し、人間の側の都合で加工しない、自然の原料がもつ本来の美しさ、良さを引き出す方向での原料づくりをする。
 10%まぜれば、必ず10%の個性を失うもの。だから、つねに100%を生かす考えをあらゆる角度から試すこと。土でなければ化粧に、化粧でなければ釉薬に使えるはず...。

 名器は原料の個性を生かしきっているからこそ、人の心に何かを感じさせていると思います。
 各作家も、その土にしかない特徴を見出し、最大限に引き出すことを考えていただきたい。

 一つの土を、いろんなつくり方で粘土とし、(小川窯ではフルイだけでも、8目~200目まで、20種類を使い分けます。)いろんな手法で作品とし、いろんな温度で焼いてみる。しかし、実際の陶工は、ろくろ、絵付、窯焚き、展示会等、仕事が多く、「土までかまっていられない」と、後回しにしがちですが、それは、本末転倒というもの。まず、やきもののベースである土のことを知らなければ何も出来ないはずです。
 
 この土の研究は、追いかければ追かける程、複雑、難解なものですが、追いかけた分、必ず、良いやきものとなるものです。
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by ogawagama | 2008-12-27 10:31 | 54 土の尊厳