昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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133 花生

 花入れの中で、最も位が高いとされるのが伊賀。
花には、必ず水の雫を添えるというのが華道の基本ですが、この伊賀は花同様に、水に濡らしてはじめて目覚めるように、美しい「生色」を放つ特徴を持っています。

 伊賀は、1350℃を超える強い火度で焼き上げられます。
くべられた薪の灰や、煙が降りかかって、花入れの体に着いたり、流れたりで、それが自然な感じの釉薬になる為、「自然釉」と呼ばれます。
この景色は陶工の手による人工ではなく、窯の中の炎の技ですから、「窯変」ともいわれます。

 この伊賀焼の荒々しい肌合いは、水分を含むと、艶な照りを見せ、野の花との相性が良く、その美しさは何時間、いや、何日眺めていても飽きません。
 
 道元もいう「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて冷(すず)しかりけり」
 
 日本人を日本人たらしめているものを、私は四季、そして雪月花を愛する心と考えます。
忙しい今の時代だからこそ、雪にたわむれ、月を眺め、そして、時々は花を生け、楽しんでみてはいかがですか?
伊賀の花入れなら1ヶ月はその美しさが眺められることでしょう。(焼き締めの花入は、水分や花を活性化する、遠赤外線波長が永久に出続ける為、花が長持ちします。)
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by ogawagama | 2012-03-09 14:56 | 133 花生