昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

カテゴリ:81 ヌタ挽き( 1 )

81 ヌタ挽き

 ロクロを挽くことを「水挽き」とも言いますが、これは、ロクロを挽く時、手水を使いながら形を作っていくからです。でも実は、ロクロが上手い人は、「ヌタ挽き」をしています。

 私も最初の頃は、手全体に水を付け、更に、水を何度も何度も付け直し、形を作っていたものですが、今は、左手の人差し指、中指、薬指の第一関節までを、ほんの一瞬、水桶に付けるだけ。しかも、最初の1回限りです。
 
 水を使いすぎると、作品に水が回り、次第に粘土に腰がなくなり、最後はつぶれてしまいます。
 市販の粘土はこれを防ぐ為、いろんなものが混ぜられていて、つぶれることは少ないですが、山から採って来たままの原土は、水を使いすぎては、すぐにつぶれてしまいます。
 
 そこで必要なのが「ヌタ」
 これは、ロクロを挽く時に、手にまとわり付いてくる細かい粘土のことですが、これを普通の人は、その都度邪魔にして、水桶に捨ててしまうのですが、これを捨ててはいけません。
 ロクロを上手く挽くコツは、この、手にまとわり付いたヌタをこそぎ取り、形を作っている途中の作品に塗り付け、ロクロを挽く。そうすれば、どんな土も思い通りの形に仕上げられるでしょう。
 
 だから私は、ロクロを挽く事を、あえて、「ヌタ挽き」と言っています。

 備前でロクロの達人と言われた山本陶秀も、同じ話をしていました。
 私は達人ではありませんが、原土しか扱わない為、いつの間にかこの技が身についただけですが。
[PR]
by ogawagama | 2012-03-07 10:51 | 81 ヌタ挽き