昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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109 縄文土器

 縄文土器は、日本における最古のやきもの。その発現については、未だに十分は判明されていませんが、数千年前であることは確かです。
 そんな土器が作られ始めてから、日本のやきものは、日進月歩で、技術的にも、工芸的にも、向上していく訳ですが。

 面白いことに、交通手段の発達していなかったあの時代にあって、北海道も、本州も、四国も、九州も、全国的に、同じ時代には同じものが作られていたのです。
 
 不思議ではありませんか?
 
 ロクロも無く、ただひも作り(手びねり)で。つまり、道具も使わず、粘土を指先だけで操作しながら形作る訳ですが、高さ、70㎝を超えるものもあり、これらが、狩猟の合間に素人が果たして作れたでしょうか?
 
 私はそんなことを、ずっと疑問に思っていたのですが、最近、私の知人から、面白い話を聞きました。
 ある縄文土器収集家が、自ら持つ、何個かの縄文土器の表面に残る指跡の指紋を、専門家に調べてもらうと、何と、全てが同じであったと。つまり、こういうことです。
 
 全国を渡り歩いていた陶工が、数千年前からすでにいた、ということではないでしょうか。
 それぞれの土地で粘土を見つけ、作り、焼く、やきものの専門集団が存在していたのでは。
 
 確かに、何の知識・技術もない人間が、あのような美しい器を作れるとは思えません。あの縄文文様も、実は、ひも作りで生じる欠点、つなぎ目からのヒビ割れを防ぐ為の知恵であり、このことは、かなりの数を作らないと気付けないことです。
 そして、一般の容器・食器は別として、あの美しい火焔式祭器は、今、我々が見ても、実に美しいものです。 その美しさに最も取り付かれたのは、岡本太郎でしょうか。
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by ogawagama | 2012-03-08 10:07 | 109 縄文土器