昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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82 陶片

 陶芸家は、それぞれのやり方で自分のやきもの作りをするのですが、私の手法は、「陶片集め」。

 陶片は、私にとって、無人蔵の宝の山であり、完器の状態では見えない部分までを、明らかにしてくれる貴重な資料です。
 
 例えば、断面が見られることによって、使われている土の粒子の荒さ、細かさ、軽さ重さ、鉄分の多少などが分かります。釉ものであれば、釉の厚み、かけ方、焼成方法までが見えてきます。
 また、徳利などの袋ものの内側がどうなっているかまで、のぞき見る事が出来、袋ものの内側と、底の作り方も分かり、これによりその内側のロクロ目から、使われていた道具までもが推測出来ます。
 
 私は集めた陶片を、まずは半分に割り、一つはそのまま残しておき、もう一つを、自分の窯で焼くことにしています。これで、焼成温度、焼成炎の種類、時間等、更に具体的なことまでが分かります。
 
 このように、陶片は私にとって、単なる捨てられたものではなく、まさに「宝物」。 たったひとかけらの小さな陶片にも、陶工からの無限のメッセージが込められており、こちらの力量次第で、無限の知と技を教えてもらえるパンドラの箱にもなります。

 但し、現在は、文化保護法で、陶片の採集は禁じられているので出来ませんので。
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by ogawagama | 2012-03-07 10:54 | 82 陶片