昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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148 プロセス

 私は時間があれば、山野を巡って、土、長石、含鉄土石を探す。
 その為、手元には、数えきれないほどたくさんの土、石が集まり、そのテストを繰り返し続けている。何故こんなことをするのか?

 自然界には無限の素材があり、これらの組み合わせで、ただの石ころが宝石以上のものとなる。
 この魅力にとりつかれ、この欲求はエスカレートするばかりで、今、手元にある美より、更に美しいものを知りたい、求めたい、作りたいという気持ちが抑えきれず、いつも、山野を歩き回ってしまう。

 また、見付けた土を使うにしても、山から掘ってきたばかりですぐ使うのと、良く寝かし、微生物が分解し、粘りが出た土では、まるで別人となることもある。
 特に削りにおいては、ロクロの回転速度を微妙に変えたり、手指の動かし方を微妙に変えたりしながら、その土に合った美しい表情を探し出すことは、実に面白い。

 高台を削る際は、その土にピッタリの削りのタイミングがあり、これを見計らって削ると、何とも言えない表情が生まれ、本人自身がゾクッとすることもある。

 私は、自然界にゴロゴロと落ちている原料の、それぞれの個性を見付け出し、「生かす」というプロセスに憑りつかれた男でもある。
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by ogawagama | 2012-03-10 00:00 | 148 プロセス