昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

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134 茶道

 私は茶道の神髄を「もてなし」と考えている。

 茶席においては、主人はいかにして来客をもてなすかに心を砕き、客は主人のもてなしの心を、どのように上手に受け止めるかに、心を配るものである。

 ある人が、桜の季節に花見に出かけた。
 美しい自然の桜の花、小鳥のさえずりを十分堪能した後に、知り合いの茶人の所に立ち寄ったのだ。
 この家の主人は、あらかじめ客人の来ることを知らされていたので、準備して待っていた。
 茶室に通されると、通常ならば、床の間にかけてあるべき軸も、絵も飾っていない。
 主人が挨拶した。
「お花見の帰りにお立ち寄りと伺っておりました。さぞや美しい桜の花、小鳥のさえずりをお楽しみになったでしょう。せっかくの美しい自然の感覚を、人の手を加えた絵や、花で乱してはいけないと思いまして、床にはなにも飾りませんでした」
 と言い、一服の美味しいお茶を点てたと。

 通常床の間には、書か絵を飾り、花を活けておくべきなのに、あえて取り除いて、花見帰りの客を迎える席をしつらえる心配り、これこそが、「もてなしの心」である。

 相手を思いやる場とは、快いものであり、また、帰った後も、その余韻がいつまでも残るものです。
 その場その時に応じて、相手のことを思っての、臨機の対応こそが、人に安らぎと感動を与えてくれるものです。
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by ogawagama | 2012-03-09 15:00 | 134 茶道