昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

カテゴリ:4 志野の焼成法( 1 )

4 志野の焼成法

 「やきものを焼く」単純にはただ土と釉を溶かすために温度を上げていくだけなのですが、これが正しいという焼き方もないし、焼き方は無限です。
 自分が扱う土と釉薬に適した焼き方を自らの手で探していくしかなく、また、そこが陶工の最大の腕の見せ所とも言えましょう。
 
 1350℃以上の温度で徹底的に焼き抜く伊賀や、ゆっくりゆっくり14日も焼き続ける備前も特殊ですが、志野の焼成法もかなり特徴的です。
 ただ、釉薬の長石を溶かすだけなら12時間もあれば十分ですが、あの淡雪のような白さと美しい緋色を求めるならば、6日が基本となるでしょう。
 まずは、1時間に5℃ペースでゆっくり温度を上げていきます。しかし、この時、ただ焼くだけではいけません。「いかに炭素を吸わせるか」これが志野焼成の極意です。
とにかく、強い強い炉圧をかけ、還元をしっかりかけること。この際、色見口からは、激しい音と共に50~70㎝の火柱が出ます。(炉壁の厚い、志野専用の窯であればこれが楽に出来る。逆に一般の窯は壊れ易いのでご注意下さい。)
 そして、色見を見ながら焼き上げます。ここまでに3日はかけたいもの。ここから、ゆっくりゆっくり冷ます過程で、緋色が生まれるのですが、この緋色とは科学的には赤鉄鉱(土、釉薬に含まれていないが、焼成過程で生成されるもの)とよばれますが、これを生み出すには、1時間に12℃ペースでゆっくり冷ますこと。特に、1050℃が発達のピークです。この時、注意したいのは窯の雰囲気。酸化でないと決して出ません。
 これが、志野の焼成の基本です。これを各々が、原料、窯の違いから、自らのベスト焼成を見つけて下さい
c0180774_14432168.jpg
                    「各温度での志野色見」
c0180774_14433174.jpg
                     「かごに入れられた色見」
[PR]
by ogawagama | 2008-12-04 17:21 | 4 志野の焼成法