24 民芸品
2008年 12月 19日
それを、戦後の民芸運動が一緒に扱ってしまった。これは大きな間違いです。
民芸品は実用品ですから、そこに独自の美しさが備わる。奢り高ぶらない謙虚さと、身なりを慎むつつましやかさがある。これは、文化の恩恵に浴することの少ない自然豊かな地方で、その土地に住む純粋な人々がつくるものだから、美しいのです。これを、都会に住む芸術家たちが、まねして作るからおかしいのです。そしてもう一つ、民芸品は過去のものです。その時代時代の必要に応じて作られたものばかりで、その使命を果して用がなくなり、寿命が尽きれば亡びゆく運命にあるもの。これを芸術家が時代の要求なしに復活させたりすることは、実におかしいことではないでしょうか。
何度も言いますが、地方に住む職人が、その土地、時代に応じたものを無心でつくるから、民芸品は良いのです。しかし、これをまねたものは実に見苦しいものになるだけです。芸術の世界においては、模倣の継承などあり得ないこと。そこに創造がなければ、作る意味すらないはず。昨日と同じものを作ることさえ恥ずべきことと自覚して下さい。