48 土の個性
2008年 12月 21日
加藤唐九郎の言葉である。
自ら山に入り、土を採り、精製した人であれば、この言葉の意味が理解できよう。
私も、それぞれの土が持っている個性を引き出すのが、作家の大切な仕事だと考えている。その為にも、土は混ぜないで使いたい。10%混ぜれば10%個性を失い、20%混ぜれば20%個性を失うものです。使う人間側の都合で、混合し、使い易くする前に、自然が何億年という時間をかけて創りあげた土の存在そのものを尊重し、これをどうしたら生かせるのかの、土づくり、成形法、焼成を考えることが、本来の陶工の仕事のはず。
確かに手間と時間はかかるでしょうが、こうして出来た作品は、必ず、見る人に何かを感じさせるものとなることでしょう。
江戸時代中期に活躍した陶工尾形乾山は、「この地上にある土で、やきものにならないものはない」という有名な言葉を残していますが、私たちの周りには、様々な種類の土や石がありますが、それぞれの特徴をつかめば、確かに乾山の言う通りとなるでしょう。凡人には難しいが、一流の陶工は、どんな素材も見事に使いこなせるのであろう。