昔は窯場の職人のことを「窯ぐれ」と言った。全国の窯場を渡り歩き、今、尚、陶工、原料屋として、昔ながらの窯場の知識、技術を唯一引き継ぐ小川哲央の随筆をお楽しみ下さい。 (2012年3月改訂しました)


by ogawagama

102 窯の引き

 電気窯は関係ありませんが、薪・灯油・ガス窯は何を基準にして焚いていますか。

 親切なメーカーであれば初窯は来てくれ、焚き方を指導してくれますので、この焚き方を基本とすれば良いのでしょうが、せっかく窯焚きをするのであれば、何を基準に焚き方を決めているかを知っておいて下さい。

 実は窯の引きです。煙突の引きといった方が分かりやすいでしょうか。

 釉薬が溶けだすのは900℃だからと言って、ここまでを適当に焚いている人が実に多いのですが、実はこのあぶりの焚き方がとても大切だったのです。
 あぶりを適当に焚いてしまい、窯内に温度差が出来てしまうと、この差を縮めるのはほぼ無理でしょう。一度差が出来てしまうと、炎は流れ易い方ばかり流れるだけなので。

 水の流れだとイメージしやすいので、ちょっと想像してみて下さい。水は低いところ低いところを探し、流れて行きます。そして一度、水の流れ道が出来てしまうと、もうそこばかりをずっと流れてしまいます。
 これと同じで一度出来た炎の流れも、なかなか変えられないものなのです。

 話を戻しますが、あぶりの段階で、引きを自分の窯についている操作道具、煙突の高さ・ダンパー・ドラフトを用いて、窯内の温度差が50℃以下になるように、とにかくいろいろ試して下さい。
 900℃までに温度差を50℃までに抑えられれば、その後雰囲気を変えて焚いても炉圧がかかり、均一化されていきますので、1200℃で10℃差、最後にねらしをすれば上下の温度差はほとんどなくなるものです。

 しかし窯も十人十色の為、コレという答えはかけません。
 それぞれに癖がありますので、この癖を早く理解して自分の窯に合った焚き方を探って下さい。

 窯焚きに慣れは禁物です。毎回真剣勝負で、あぶりからずっと炎の流れを見て微調整して下さい。
 この癖をつけておけば毎回が良い勉強にもなり、必ず窯焚きの腕が上がることでしょう。
 毎回同じデーター通り、温度計だけを見て焚いていては何の進歩も有りませんので。
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by ogawagama | 2012-03-07 22:32 | 102 窯の引き