採取した粘土、カオリン、長石、含鉄土石は、最終的には窯で焼いてみるしかありませんが、採る時は、匂い、味、色を参考にします。
「匂い」 土そのものには匂いはありませんが、表土には、土の香がすることがあります。これは、土中に棲む放射菌が出す匂いなので、問題はありません。問題なのは硫黄。あの鼻につく匂いがあるものは、有害です。しかし、常温では匂わないことが多いので、ストーブの上で土を乾かしている時、硫黄が入っていればすぐに匂いがします。これは捨てて下さい。
「味」 塩辛い味、これがある土は海成粘土なので、高温は無理です。酸っぱい味は、熱水作用で岩が粘土になったもので、可塑性なく使えません。とにかく、採取する際、土を舐めてみて下さい。いくら舐めても土は栄養にはなりませんが、消化器官の中でイオン交換され、医薬品として使われるくらいなので、大丈夫です。「舌ざわりが良く味のないもの」が、土取りの基本です。味のあるものは不純物が含まれています。この不純物は、雨風に当て、さらすことによって、取り除けます。例えば、海成粘土の備前土は、そのままでは使えませんが、3~5年サラシをすることで、使用可能となります。
「色」 どんな土にも、水素、酸素、アルミニウム、ケイ素を中心に、88種類の元素が入っています。しかも、様々に結合している為、土の色は無限です。この生の土の色を見て、焼成後の色は分かりません。私が扱う土も、一番赤色の強い土が、焼成後、最も白く焼き上がります。土には不思議が一杯つまっています。何より、自然の中で土取りをすることは、実に気持ちが良いものです。皆さんも、是非、始めてみて下さい。
ちなみに<色の参考>
茶褐色 褐鉄鉱、酸化マグネシウムの色。
白色 不純物少なく、強い土。
赤色 高温多湿の下、鉄が褐鉄鉱にならず、水酸化鉄になったもの。粘りが少ない。
黄色 硫化鉄の色。鉄粉出易い。大物に使うと割れる。
暗灰、青緑系 海で堆積したもの。低温焼成しか無理。
黒色 炭素が残ったもの。完全に燃やすと白くなる。