A.基本原料 長石、陶石
B.媒溶原料 木灰、石灰、マグネサイト、ドロマイト、亜鉛華、バリウム
C.粘土原料 カオリン、粘土
D.珪酸質原料 珪石、ワラ灰
に分けて考えます。
志野などはAだけだが、これだけではなかなか溶けません。そこで、これを溶かし易くする為に、Bを混ぜるのだが、AとBだけでも施釉の際、釉薬が沈殿し易く、また、素地への食いつきも悪く、扱いづらいので、Cを入れる。
しかしこれでも、焼いた場合流れ易く、不安定なのでDを入れる。こうして扱い易く、安定した釉薬が出来上がります。
しかし、安定した釉と美しい釉は違います。
例えば織部釉。私は、陶石30、灰70、銅5の調合です。決して扱いやすい調合ではありませんが、焼きあがりが最も美しいと感じています。
また、鈴木五郎氏の調合は、灰100、長石10、銅5です。これは、更に扱いづらいと思います。このような不安定な釉薬は、一窯100個の茶碗を焼いて、5~6個程が美しい焼けとなり、他は、流れすぎたり、溶け不足であったりするでしょう。
さて、あなたならどんな調合の釉薬を作りますか?基本も大切ですが、考えすぎる前に、まずは自分だけの釉薬を作ってみましょう。化学変化や難しい理屈が分かっていなくても大丈夫です。
各原料を計り、バケツに入れ、1キロで800ccが基本で水を加え、よくかき混ぜます。そして好みのフルイを通します。粗い藁灰を使った調合のものは30目程から、細かい顔料を加えたものは100目程です。こうしてダマと粗すぎる余分なもの等を取り除き、濃度を調整します。この時ボーメー計があると便利でしょう。基本は比重が50ですが黄瀬戸等薄いものは40から、志野等濃いものは65程。
裏技ですが、1キロ程の少量の場合は計りづらいのでペットボトルを切った細長い容器を自分で作り、これに移してから計るとよいでしょう。

こうして自分で作り調整した釉を、自分の作品にかけて、自分の窯で焼くことを繰り返し、繰り返して自分だけのオリジナル釉を作り上げていって下さい。失敗は必ず貴重な財産となります。
ここで釉薬のうんちくを一つ。
釉とは油のようにキラキラと輝く、光沢のあるもの。
薬とは特殊な不思議な作用・効果の意。
つまり焼成という炎の作用によって、ただの石ころを宝石のような魅力ある光沢のあるものに変えるから、釉薬という字が付けられているようです。